ヒトは「いじめ」をやめられない【徹底レビュー】

書評

こんな方におすすめ

  • 中間管理職、主任などのサブリーダー的な立場
  • 人事部所属の被雇用者
  • 公務員(警察、刑務所職員、役所など)、特に学校の教員の方

マネジメントの資料として、
また被雇用者の問題行動を処理する立場の方は
人間がこういう特性を持っていることを知るための資料として
良書だと思います。

学校など毎日、現場にいる立場の方の感想が気になります。
社会的にもかなり貴重なデータになります。

誤解を招かないために申し上げますが
「教員の方に読んで欲しい」などという
主張をするつもりはありません。
あくまでどんな感想を持つかに興味があるだけです。
なぜならそれが貴重なデータであり、
社会的にもかなり有用な情報になりえるからです。
何を読まれるかは教員の方の個人の意思を尊重すべきと考えます。
「教育関係者は読んて欲しい!」という
主張をするつもりは毛頭ありません。

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この本の内容

一言でいうと何?

いじめに関する行動心理学のまとめ本

いじめはなぜ起きるのか?

いじめが起きるメカニズムなど
人体、脳の仕組みから解説しています。
脳科学の観点だけでなく、
調査結果からの考察も入っています。

  • いじめは集団を守るための制裁行動
  • 脳はいじめをすると快楽を感じる
  • 正義感が強いほどいじめは激しい
  • 体が弱くリベンジが少なそうな人がいじめの対象に選ばれやすい

さまざまないじめに対する考察が示されています。
集団の中にいて「なんとなく」感じていたことが
はっきりと「言語化」されます。

この本を読むことで
いじめを前提として
どのように社会システムをデザインするのか?

マネジメントする立場の人に人間の特性や本性を理解する上で
知っておきたい知識が書かれています。

中野信子氏について

脳科学者として、ホンマでっか⁉TVなどメディアにもご出演されています。

学生時代の博士論文要旨をこちらでご覧いただけます。

SNS関係

インスタをメインに情報発信しているようです。

他の著書

キレる!: 脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」

サイコパス

脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体

レビューの評価

ヒトは本能的にイジメをするという意見は納得ができる。そして、自分自身もそういう感情を持つということを認めることでコントロールできるようになっていくという意見にも共感した。規範意識が高い集団であればあるほど、イジメが増える。なぜならば、規範意識が高いほど、異分子を排除しようという意識も高まるからである。これも納得。人間は本来はそういう不寛容な生き物でおり、イジメをしてしまうものなのだろう。だからこそ、イジメを回避するためには、話し合いなどではなく、距離を取ったり、逃げ場所を確保したりする方が大切なのでは?

読書メーターより引用

いじめは脳に組み込まれた機能。日本の国民性。同調圧力。やっかいだな。人は簡単に人をいじめてしまう。正義だと思ってることもある。いじめる人を止めることは難しいのなら、やっぱり知恵をつけなきゃいけないのかな。
読書メーターより引用
なるほどと思う内容が多く、メモをしながら読みました。人は集団を作ることが武器としていた。仲間関係が強化されると、集団を破壊させてしまう可能性のあるものを排除しようという気持ちが高まる。仲間意識は大切だけど、そのぶんいじめのリスクも上がるんだということを知っておくことが大切ですね。
読書メーターより引用
賛否両論ある本だが、私は核心をついた本だと思った。著者が提案する、いじめを回避する方法が記されているところも著者の愛情が感じられる。学生も社会人も、いじめに悩んでいる全ての人にお薦めしたい一冊。
読書メーターより引用
いじめは楽しいし自分の居場所を確かにするためにはやめられないのである。ついやってしまうことなのだからいじめを完全になくすのではなくいじめが発生するのは自然なことと考えて対処する必要があると教えてくれる本。
読書メーターより引用
否定的な意見はないようで、
イジメに対する認知が得られたことに対する
感想が多い傾向にありました。

感想

 

共感を得たところと
共感が得られないところがありました。

共感を得たところ

いじめが起きやすい環境をわざわざ作っている

いじめのもととなる妬みの感情は

  • 類似性が高い
  • 獲得可能性の高い

という対象に対して抱く感情です。

つまり、自分と似ているけど、
相手のほうが優越だったり何かを得ていたりする時に
妬みをかいやすいということです。

学校の教室は似た者同士で、競争もさせているので
わざわざいじめが起きやすい環境を作っているように感じます。

学校は勉強が先天的に苦手な子にとって過酷ですが
人間関係が先天的に苦手な子にとっても過酷な環境です。

空間的に距離を離す

これはかなりの共感を得ました。

日本人の特徴なのかはわかりませんが、
どうも人間関係の距離が近すぎるように感じます。
常に距離感を近くしていないと不安なのでしょうか。

空間的に距離を離す

これだけでかなりの軽減されるように思います。

どんなにラブラブなカップルでも
長い期間、交際を続けるならば
適度な距離感を保たないと
付き合っていけません。
10年以上続いている夫婦関係も
距離感を適切に取っています。

職場などの場合は
職種によって連携を必要するものもあります。
その場合、いかに接しない時間を作るかが
大事だと考えているのですが、
全く逆のことを信じている人がいるのも事実としてあります。
相互理解も大事ですが、
「他人は他人」というような考えも大事な気がします。

イヤなら離れればいいのですが、
わざわざ近寄り制裁を加える人もいます。

共感を得られなかったところ

「第四章いじめの回避策」で
さまざまな案を提示しています。
しかし、いかにも部外者がデータを見て
こうしたらいいじゃないかと
安易なことを言っているように感じ
私個人は共感できませんでした。

著者は脳科学のスペシャリストであって、
学校現場のスペシャリストではないので、
違和感を感じてしまいました。
学校は卒業してから数十年も離れていますが
そんな立場の私でも

当事者でない人なら簡単に言えるけど…

という感じに聞こえました。

現場の教員の方がこれを読んだら
どう感じるのか興味があります。

職場いじめはなぜ黙認?

本の内容とはずれるのですが、
読んでいて感じたのでお話します。

学校のいじめについては
あってはならない
という風潮とは対照的に

職場でのいじめは
何も言われないように感じます。

洗礼として通らなくてはならない
というような風潮を感じます。

私なりに解釈すると…

職場というのは
会社なら利益を上げることが第一、
役所や公的な機関は使命を果たすことが第一
スポーツチームならば試合に勝つことが第一
なので、構成員同士が仲良くするかしないかは
最優先事項ではないからだと思います。

仲が悪くても、成果が残せればOKで
仲が良くても、成果が残せなければ存続の危機になります。

もちろん派閥や抵抗勢力ができたりするのは
組織にとって明らかに不利益なので
ないようにするベターのです。

学校のクラスとは明らかに組織の目的が異なるので、
いじめに対する認識も変わってくるのでしょう。

コロナによるこんなツイートも

続きを読むと
いじめた子と両親が一緒に謝りに来て
平和的に解決したので良かった。
対処が悪ければ一生の傷を抱えることになるのだろう。

イジメの捉え方

自分のいじめに対する経験云々ではなく
人と接する上に置いて
こういう論理で人が動くことは知っておく必要があります。

いじめというものに対して
犯罪と同じように減らす努力はすべきだが
ゼロにするのは不可能だと思います。

いじめられた経験、いじめた経験、
個々のケースについてではなく、
総論として「人間とはこういうものなんだ」
ということがわかる良書だと思います。

他書のおすすめ

学校を変える いじめの科学

いじめの構造

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)

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