【線形代数学講義】幾何ベクトル(準備編)

線形代数

高校数学で扱った長さと方向をもった
ベクトル(幾何ベクトル)で議論を進めることで
イメージをしやすくなります。
高校と大学の数学の橋渡し的なトピックとなります。

当方の学習した内容を
理解し伝えることを目的としていますが
説明に脆弱な点や
表記に誤記がある場合がございますので
あらかじめご了承ください。
随時、修正していきます。

どうしても気になる場合は
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「優しく」ご指摘いただければ
助かります。

参考・引用文献

下記の資料を中心に執筆しています。
各所で引用元を記すべきですが
煩雑になるのを防ぐため
こちらでまとめて明示いたします。

書籍

  • 改訂版 大学1・2年生のためのすぐわかる数学
  • これだけ! 線形代数
  • まずはこの一冊から 意味がわかる線形代数
  • 線型代数―Linear Algebra(長谷川 浩司/著)
  • 線型代数入門( 斎藤 正彦/著)

詳しくはこちらの記事で紹介しています。

動画

  • 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」
  • Masaki Koga [数学解説]
  • AKITOの勉強チャンネル
  • 式変形チャンネル

詳しくはこちらの記事で紹介しています。

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幾何ベクトル(準備編)

平面、空間(3次以下)のベクトル

方向と長さを持った矢印のような概念を幾何ベクトルという。

高校数学では\({\vec{a}}\)と表記していたが、
大学数学では\({\bf{a}}\)(\(a\)の太字)と表記する。
以降は\({\bf{a}}\)と表す。

長さ0のベクトルを零ベクトルといい
\({\bf{o}}\)と書く。

2次元の平面ベクトル全体の集合と\({\bf{V}^2}\)
3次元の平面ベクトル全体の集合と\({\bf{V}^3}\)
とする。

幾何ベクトルの和

\({\bf{a}},{\bf{b}}\in {\bf{V}^2}\)もしくは\({\bf{V}^3}\)について
和を定義する。

和は二つのベクトルの始点と終点を結んだベクトルである。
次のように表記する。

$${\bf{a}} + {\bf{b}} \in {\bf{V}^2}もしくは{\bf{V}^3}$$

和について下記の法則が成り立つ。

  1. \({\bf{a}} + {\bf{b}} ={\bf{b}}+ {\bf{a}}\)
  2. \(({\bf{a}} + {\bf{b}})  + {\bf{c}}={\bf{a}} + ({\bf{b}} + {\bf{c}})\)
  3. \({\bf{a}} + {\bf{o}} ={\bf{a}}\)

\({\bf{a}} + {\bf{b}} ={\bf{o}}\)となる
\({\bf{b}}\)を\({\bf{a}}\)の逆ベクトルといい、
\(-{\bf{a}}\)と書く。

幾何ベクトルのスカラー倍

実数\(k\)に対し\(k{\bf{a}}\)を
\({\bf{a}}\)と同じ方向に\(k\)倍の長さに
伸ばしたベクトルとする。
\(k\)が負の数の時は向きを逆向きとし、
\(k\)が0の時は\(k{\bf{o}}\)とする。

スカラー倍について下記が成り立つ。

  1. \(k({\bf{a}}+{\bf{b}}) = k{\bf{a}} + k{\bf{b}}\)
  2. \((h+k){\bf{a}} = h{\bf{a}} + k{\bf{a}}\)
  3. \((hk){\bf{a}} = h(k{\bf{a}})\)
  4. \(1{\bf{a}} = {\bf{a}}\)

ベクトルを座標で表す場合、

\({\bf{a}}=\begin{pmatrix}
a \\
b \\
c
\end{pmatrix}\)

\({\bf{a}}\)の位置ベクトルとなる。
また特別な3つのベクトルを単位ベクトルと呼ぶ。

\({\bf{e_1}}=\begin{pmatrix}
1 \\
0 \\
0
\end{pmatrix},
{\bf{e_2}}=\begin{pmatrix}
0 \\
1 \\
0
\end{pmatrix},
{\bf{e_3}}=\begin{pmatrix}
0 \\
0 \\
1
\end{pmatrix}\)

線形独立、線形結合

二つのベクトル\({\bf{a}},{\bf{b}}\)が
平行でないとき、
三つのベクトル\({\bf{a}},{\bf{b}},{\bf{c}}\)が
同一平面上にないとき、
それらは線形独立であるという。

\({\bf{a}},{\bf{b}},{\bf{c}}\)が線形独立であるとき
任意のベクトルを\(x{\bf{a}}+y{\bf{b}}+z{\bf{c}}\)の形に
一意に書ける。
この形を\({\bf{a}},{\bf{b}},{\bf{c}}\)の線形結合という。

ベクトルの内積

ベクトル\({\bf{a}}\)の長さを\(\|{\bf{a}}\|\)と書く。

\({\bf{a}}=\begin{pmatrix}
a \\
b \\
c
\end{pmatrix}\)
のとき

\(\|{\bf{a}}\| = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2}\)となる。

2つのベクトルのなす角を\(\theta\)とする。
このときベクトル\({\bf{a}},{\bf{b}}\)の内積を
次のように定義する

$$ {\bf{a}} \cdot {\bf{b}} \buildrel \rm def \over {:=}\|{\bf{a}}\|\|{\bf{b}}\|\cos \theta $$

このとき余弦定理より
$$\|{\bf{a}}\|\|{\bf{b}}\|\cos \theta = \frac{1}{2}(\|{\bf{a}}\|^2+\|{\bf{b}}\|^2-\|{\bf{b-a}}\|^2)$$

となる。

ベクトル\({\bf{a}}=\begin{pmatrix}
a_1 \\
a_2 \\
a_3
\end{pmatrix},
{\bf{b}}=\begin{pmatrix}
b_1 \\
b_2 \\
b_3
\end{pmatrix}\)
に対して内積は
$${\bf{a}}\cdot {\bf{b}} = a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3$$
となる。

またベクトル\({\bf{a}},{\bf{b}}\)が直角となるとき
\({\bf{a}}\cdot {\bf{b}} = 0 \)が成り立つ。

 

内積の法則

  • \({\bf{a}}\cdot {\bf{b}} \le \|{\bf{a}}\|\|{\bf{b}}\|\)
  • \(\|{\bf{a}}+{\bf{b}}\| \le  \|{\bf{a}}\|+\|{\bf{b}}\|\)
  • \({\bf{a}}\cdot {\bf{a}} = \|{\bf{a}}\|^2 \ge 0\)
  • \({\bf{a}}\cdot {\bf{b}} = {\bf{b}}\cdot {\bf{a}}\)
  • \(({\bf{a}}+ {\bf{b}})\cdot  {\bf{c}} = {\bf{a}}\cdot {\bf{c}}+{\bf{b}}\cdot {\bf{c}}\)
  • \((\lambda {\bf{a}})\cdot {\bf{b}} = {\bf{a}}\cdot (\lambda {\bf{b}})= \lambda ({\bf{a}}\cdot {\bf{b}}) \)
  • \((h {\bf{a}})\cdot (k{\bf{b}}) = hk{\bf{a}}\cdot {\bf{b}} \)

平面の回転と行列、線形変換

$$
\begin{pmatrix}
x’ \\
y’
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
\cos \theta & -\sin \theta \\
\sin \theta & \cos \theta \\
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
x \\
y
\end{pmatrix}
$$

このとき
$$\begin{pmatrix}
\cos \theta & -\sin \theta \\
\sin \theta & \cos \theta \\
\end{pmatrix}$$
は回転に対応する行列となっている。

線形変換

任意の行列\(A\)、
任意のベクトル\({\bf{x}},{\bf{y}}\)について
下記が成り立つ。

$$A({\bf{x}}+{\bf{y}})=A{\bf{x}}+A{\bf{y}}\\
A(c{\bf{x}})=c(A{\bf{x}})$$

一般に\({\bf{V}^2}\)の変換\(T\)、
任意のベクトル\({\bf{x}},{\bf{y}}\)について
下記が成り立つ。

$$T({\bf{x}}+{\bf{y}})=T{\bf{x}}+T{\bf{y}}\\
T(c{\bf{x}})=c(T{\bf{x}})$$

この\(T\)を\({\bf{V}^2}\)の線形変換という。

\(T\)は行列\(A\)によって定まる変換に等しい。

行列式、外積(ベクトル積)

行列式

\(\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix}\)に対し\(ad-bc\)を\(A\)を行列式という。

$$\begin{vmatrix}
a & b \\
c & d
\end{vmatrix},|A|,{\rm det}A$$

と表す。

ベクトル\({\bf{a}}=\begin{pmatrix}
a \\
c
\end{pmatrix},
{\bf{b}}=\begin{pmatrix}
b \\
d
\end{pmatrix}\)の行列式を

{\rm det}({\bf{a}},{\bf{b}})とすると
下記が成り立つ。

行列式の法則

  • ベクトル\({\bf{a}},{\bf{b}}\)が線形独立\(\Leftrightarrow {\rm det}({\bf{a}},{\bf{b}})\neq 0\)
  • \({\rm det}({\bf{a}},{\bf{b}}) = -{\rm det}({\bf{b}},{\bf{a}})\)
  • \({\rm det}({\bf{a_1}}+{\bf{a_2}},{\bf{b}}) = {\rm det}({\bf{a_1}},{\bf{b}})+ {\rm det}({\bf{a_2}},{\bf{b}})\)
  • \({\rm det}(c{\bf{a}},{\bf{b}})= c{\rm det}({\bf{a}},{\bf{b}})\)
  • \(|AB|=|A||B|\)

\({\rm det}({\bf{a}},{\bf{b}})\)は
\({\bf{a}},{\bf{b}})\)の張る平行四辺形の面積に
符号をつけたものに等しい。

{\bf{a}}の左側に{\bf{b}}があるとき正の値となり
{\bf{a}}の右側に{\bf{b}}があるとき負の値となる。

任意のベクトル\({\bf{x_1}},{\bf{x_2}}\)について

$$|A| = \frac{{\rm det}({A\bf{x_1}},{A\bf{x_2}})}{{\rm det}({\bf{x_1}},{\bf{x_2}})}$$

線形変換\(T_A\)において
任意の平行四辺形は別の平行四辺形に移るが
その面積比は行列式\(|A|\)の値に等しい。

外積(ベクトル積)

二つのベクトル\({\bf{a}} + {\bf{b}} \in {\bf{V}^3}\)が
線形独立の時、次の性質をもつ。

  1. \({\bf{c}}\)は\({\bf{a}}\)と\({\bf{b}}\)に直交する
  2. \({\bf{a}},{\bf{b}},{\bf{c}}\)は右手系を成す
  3. \({\bf{c}}\)の長さは\({\bf{a}}\)と\({\bf{b}}\)が張る平行四辺形の面積に等しい

この時、\({\bf{c}}\)を外積あるいはベクトル積と呼ぶ。
また\({\bf{a}},{\bf{b}}\)が線形独立でないときは
\({\bf{a}}\times {\bf{b}}= {\bf{o}}\)とする。

外積の法則

  • \({\bf{a}}\times {\bf{b}} = -{\bf{b}}\times {\bf{a}}\)
  • \({\bf{a}} \times ({\bf{b}}+ {\bf{c}})= {\bf{a}}\times {\bf{b}}+{\bf{a}}\times {\bf{c}}\)
  • \((k {\bf{a}})\times {\bf{b}} = k ({\bf{a}}\times {\bf{b}}) \)
  • \(({\bf{a}})\cdot ({\bf{b}}\times {\bf{c}}) =  {\rm det}({\bf{a}},{\bf{b}},{\bf{c}}) \)

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