整数問題でよく取り上げられる問題です。
私も解いてみました。
どの問題も場合分けは重要ですが、
ちゃんと説明しようとすると、
文章が冗長で複雑になってくるので
気楽にやっていきましょう。
鈴木貫太郎さんがどんな方か知りたい方はこちらへ
整数問題
\(p^q+q^p=\)素数となる素数\(p,q\)の組を全て求めよ
$$p^q+q^pが素数となる素数p,qを全て求めよ$$
自力で解く
題意より
$$p^q+q^p=r(r\in 素数)(①)$$
とする
まず、素数の大事な特徴として
- 偶数の素数は2だけ!
- それ以外は奇数!
という事実があります。
右辺のrが素数となるのは2または奇数
となるときしか成立しないということが分かります。

まずp=q=2を代入するとどうなるかな
$$2^2+2^2=8$$
となって素数ではないので不成立
右辺が8になっていることからもrは奇数になるパターンしかない
ということが分かります。
そうすると何となく、

pまたはqのどっちかが2になりそうな…
そんな予感を持ちつつ、
ではp,qが両方とも奇数の場合を考えています。
$$p=2m+1,q=2n+1(m,nは0以上の整数)とおける$$
$$(①の左辺)=(2m+1)^{2n+1}+(2n+1)^{2m+1} \\
\equiv 1^{2n+1}+1^{2m+1}(mod 2) \\
\equiv 1 + 1(mod 2) \\
\equiv 0 (mod 2)$$
となりrが偶数であることがわかります。
つまりp,qが両方奇数の時、素数となるrは存在しない。
ということから、p,qはどちらかが、偶数となります。
偶数の素数は2しかありません。
ということは、
pまたはqのどちらかが2とわかります。
式①は対称性を持っていますので、
とりあえずp=2として議論をすすめます。
式①はつぎのようになります。
$$2^q+q^2=r(②)$$

さて、ここからどうしようか…
とりあえず、今度は3の倍数で考えてみるか…
ということで、
$$q=3m+1$$
として考えてみた
②式は
$$(②の左辺)\equiv (-1)^{3m+1}+(3m+1)^2(mod 3)\\
\equiv -(-1)^m+1(mod 3)$$
mが偶数の時は余りが0になるので、rが3の倍数になる。
ということはr=3となるとき以外は不成立。
mが奇数の時は、余りが2となるが、
これが素数になるかどうかの判断には使えない。
ちなみに$$q=3m-1$$のときもやってみたが、
結果は同じだった。

道に迷った…
そもそも、全て求めよ、という問題からしても
p,qの組は有限、というか数えられるぐらいの組数しか
なさそうな気がする。
こういう、整数や素数に限られた問題は
順番に代入をして、ヒントを見つけようとすることがある。

順番に代入しよう
$$q=3の時、2^3+3^2=8+9=17 →素数なので成立!\\
q=5の時、2^5+5^2=32+25=57=3\times 19 →不成立\\
q=7の時、2^7+7^2=128+49=177=3\times 59 →不成立\\
q=11の時、2^{11}+11^2=2048+121=2169=3\times 723 →不成立\\$$
次の2つのことに気づきました。
q=3以外の時は、
3の倍数になっている
$$mod 3のときに2^qの余りが-1,q^2の余りが1$$
後から見ると当たり前といえば当たり前なのですが、
問題を解いていると、見逃してしまうことがります。
p,qは素数なので、
- 2以外の2の倍数(偶数)
- 3以外の3の倍数
は除外できます。
qが3の時は代入したので、
それ以外の数、つまり
qは2の倍数でもなく、3の倍数でもない数を
検証していけばいいことになります。
その場合、qは
$$q=6l+1,6l-1(lは整数)とおくことができます$$
なぜなら下記の通りだからです。
q=6l-2 ←2の倍数
q=6l-1
q=6l ←2かつ3の倍数
q=6l+1
q=6l+2 ←2の倍数
q=6l+3 ←3の倍数
ということで
$$q=6l+1のとき\\
(②の左辺)=2^{6l+1}+(6l+1)^2\\
\equiv (-1)^{6l+1}+1^2(mod 3) \\
\equiv -1+1 \equiv 0(mod 3)$$
$$q=6l-1のとき\\
(②の左辺)=2^{6l-1}+(6l-1)^2\\
\equiv (-1)^{6l-1}+1^2(mod 3) \\
\equiv -1+1 \equiv 0(mod 3)$$
つまり3より大きい素数の場合、
からなず3の倍数になることから不成立となる

これで材料がそろった!
では回答に入ります。
私の回答
題意より
$$p^q+q^p=r(r\in 素数)(①)$$
とする
(i)
まず、p=q=2の場合を考える。
最小の素数であるp=q=2を代入すると
r=8となり不成立。
(ii)
(仮定)p,qがともに奇数の時、①が成立と仮定する
$$p=2m+1,q=2n+1(m,nは0以上の整数)とおける$$
$$(①の左辺)=(2m+1)^{2n+1}+(2n+1)^{2m+1} \\
\equiv 1^{2n+1}+1^{2m+1}(mod 2) \\
\equiv 1 + 1(mod 2) \\
\equiv 0 (mod 2)$$
となりrは偶数となる。
また、rは最小の素数であるp=q=2を代入したときr=8であったことから
rは8より大きい素数しかとりえない。
よって、p,qが両方が奇数の時、
素数となるrは存在しないことになり(仮定)に矛盾が生じる。
よって、p,qはどちらかが、偶数となる。
また、偶数の素数は2しかないため、
pまたはqのどちらかが2となる。
(iii)
①式の対称性より、p=2として、qの値を求める。
q=3を代入する。
$$q=3の時、2^3+3^2=8+9=17$$
rが17で素数となり①が成立!
よってp=2,q=3が成立。
対称性よりp=3,q=2も成立。
(iv)
qが3以上の場合を考える。
qは素数なので2,3以上の素数は
2の倍数でもなく、かつ3の倍数でもない
という数について考えていく。
この場合、qは
$$q=6l+1,6l-1(lは整数)とおくことができる$$
ということで
$$q=6l+1のとき\\
(②の左辺)=2^{6l+1}+(6l+1)^2\\
\equiv (-1)^{6l+1}+1^2(mod 3) \\
\equiv -1+1 \equiv 0(mod 3)$$
$$q=6l-1のとき\\
(②の左辺)=2^{6l-1}+(6l-1)^2\\
\equiv (-1)^{6l-1}+1^2(mod 3) \\
\equiv -1+1 \equiv 0(mod 3)$$
つまり3より大きい素数の場合、
からなず3の倍数になる。
最小の素数であるp=q=2を代入したときr=8であったことから
rは8より大きい素数しかとりえない。
よって3の倍数で、唯一の素数である3をとることはない。
よって2、3以外の素数の場合はrは(8より大きい)3の倍数にしかならないため、
①を満たす素数p,qは存在しない。
よって(i)(ii)(iii)(iv)より、p,qの組み合わせは
$$(p,q)=(2,3),(3,2)$$
である。
(終)
回答の穴はないはず

色々大変だったけど
これでOKなはず。
解答
解き方はほぼ一緒でした。
動画の中で麻雀トリビアも出てきましたが解答には
関係ありません。
動画の中で、整数問題の解き方のポイントも解説していただいています。
- 因数分解して積の形に
- 倍数、余りを利用する
- 不等式評価による絞り込み
厳密な回答の説明というよりは
倍数や余り、素数の性質から
こうやって答えが見つけられるよ、
ということを提示しております。
まとめ
無限に存在されても困るので、
どうやって結論を付ければいいのか
という点で困ってしまいました。
ただ、2の倍数でも3の倍数でもない
という形を検証することに
気が付いたのがよかった。
おかげで自力で答えにたどり着くことができました。
- 小さい数でアタリを付ける
- 素数の性質を理解する
- こうなりそうだ、という仮説を見つける
ということが大事だと確認できました。
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