線形代数

n行m列行列と演算の定義【多次元の世界をイメージする】【線形代数学】

線形代数

高校数学では2行2列、
多くても3行3列の行列までの
取り扱いに限定されてきました。
しかし、大学では4次元、5次元どころか
n次元、n行m列の行列という
一般化した次元と取り扱っていきます。

まずは行列とその演算の定義を
見ていきましょう。

定義や演算が複雑に見えるかもしれませんが
やっていることは2行2列と同じことです。
その一般化に過ぎません。

虚数を導入された時、
最初は
「そんな数、あるわけない」
「なんかイメージがつかめない」
という違和感や拒絶感が
やがて受け入れられると
一気に理解が進むように

抽象的なn次元という世界のイメージを
理解も一気に進みます。

  • ご覧いただく前のご注意点

当方の学習した内容を
理解しまとめることを目的としています。
説明に脆弱な点や
表記に誤記がある場合がございますので
あらかじめご了承ください。
発見次第、そのうち、修正していきます。

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行列の定義と演算

行列の定義

行列…数を縦と横に長方形状に並べたもの

高校では2行2列の行列が登場しましたが、
大学ではm行n列という、もっと一般化した行列を扱います。

定義
数字を縦にm個ずつ、横にn個ずつ
両側を()でくくったものを
m行n列行列もしくは(m,n)型行列と呼ぶ。$$A \buildrel \rm def \over {:=} \begin{pmatrix}
a_{11}&\cdots &a_{1j} & \cdots &a_{1n} \\
\vdots&\ddots & & &\vdots \\
a_{i1}& \cdots&a_{ij} &\cdots&a_{im} \\
\vdots& & &\ddots & \vdots\\
a_{m1}&\cdots &a_{mj} &\cdots &a_{mn}
\end{pmatrix} \\$$

この行列を\(A = (a_{ij})\)と表記することもあります。

新しく登場する用語を整理します。

  • 成分:行列に現れた一つ一つの数字
  • 対角成分:\(a_{ii}\)となる成分を対角成分
  • 正方行列:\(m=n\)の時をn次の正方行列と呼ぶ
  • 対角行列:対角成分以外が0となる正方行列を対角行列
  • (m次)列ベクトル:m行1列の行列
  • (n次)行ベクトル:1行n列の行列
  • 行列が等しい:行列AとBが全ての成分で\((a_{ij}=b_{ij})\)となるとき
    行列は等しいといい\(A=B\)と表す

実数行列ならば

\(A=\begin{pmatrix}
1 & \sqrt{5} & 8 & -1 \\
1 & 7 & \frac{14}{5} & -3 \\
2 & 7 & 7 & 2
\end{pmatrix} \)

これは3行4列の実数行列

複素数行列ならば

\(B=\begin{pmatrix}
i & \sqrt{5}i & 8  \\
1 & 7i & \frac{14}{5}  \\
\end{pmatrix} \)

これは2行3列の複素数行列

m行n列の集合\(\mathbb{K}\)の元を成分とする。
行列全体の集合を
\(M_{m,n}(\mathbb{K} )\)または\(M(m,n,\mathbb{K} )\)と表す。
またn次の正方行列の場合は\(M_{n}(\mathbb{K} )\)と書く。

\(A \in M_{3,4}(\mathbb{R} ) ,B \in M_{2,3}(\mathbb{C} )\)となる。

なんだか急に
世界が広がったような気がする

4次元以上になると
何をどうイメージしたらいいのやら

4次以上の一般化したイメージが難しければ
最初は2次元、もしくは3次元で考えることを
おすすめします。

幾何ベクトルや図として
表しやすいからです。

そこでイメージして、
それを新しい世界を広げた空間
みたいな感覚でいると
つかみやすいです。

いきなりすべてを理解しようとすると
大変なので、
色んな側面から理解できるポイントを
かき集めて、最後に
理解できたポイントとポイントを結び付けることで
抽象的な概念も感覚に落とし込めます。

行列の演算

行列の加法(減法)、スカラー倍

\(m\)行\(n\)列になっても
加法、スカラー倍などの演算は
高校数学の行列の計算と変わりません。

加法・減法
定義
\(A = (a_{ij}),B = (b_{ij})\)が
いづれも(m,n)型行列の時、
加法、減法を下記のように定義する。$$A+B \buildrel \rm def \over {:=}\begin{pmatrix}
a_{11} + b_{11}&\cdots &a_{1j}+b_{1j} & \cdots &a_{1n}+b_{1n} \\
\vdots&\ddots & & &\vdots \\
a_{i1}+b_{i1}& \cdots&a_{ij}+b_{ij} &\cdots&a_{im}+b_{im} \\
\vdots& & &\ddots & \vdots\\
a_{m1}+b_{m1}&\cdots &a_{mj}+b_{mj} &\cdots &a_{mn}+b_{mn}
\end{pmatrix} \\$$$$A-B \buildrel \rm def \over {:=} \begin{pmatrix}
a_{11} – b_{11}&\cdots &a_{1j}-b_{1j} & \cdots &a_{1n}-b_{1n} \\
\vdots&\ddots & & &\vdots \\
a_{i1}-b_{i1}& \cdots&a_{ij}-b_{ij} &\cdots&a_{im}-b_{im} \\
\vdots& & &\ddots & \vdots\\
a_{m1}-b_{m1}&\cdots &a_{mj}-b_{mj} &\cdots &a_{mn}-b_{mn}
\end{pmatrix} \\$$

同じ位置にある成分を
それぞれ和もしくは差をとった値の行列となります。

また行と列が異なる行列同士の加法(減法)は
定義していない。

スカラー倍
定義
\(A = (a_{ij})\)をスカラー倍は
下記のように定義する。$$kA \buildrel \rm def \over {:=} \begin{pmatrix}
ka_{11}&\cdots &ka_{1j} & \cdots &ka_{1n} \\
\vdots&\ddots & & &\vdots \\
ka_{i1}& \cdots&ka_{ij} &\cdots&ka_{im} \\
\vdots& & &\ddots & \vdots\\
ka_{m1}&\cdots &ka_{mj} &\cdots &ka_{mn}
\end{pmatrix} \\$$

行列Aの全ての成分をk倍しています。

行列の乗法

定義
\(A = (a_{ij})(m,l)型行列,B = (b_{ij}),(l,n)型行列\)の
乗法を下記のように定義する。$$AB \buildrel \rm def \over {:=} (a_{ij})(b_{ij})
= (\sum_{k=1}^{l}a_{ik}b_{kj})$$

全成分を書くとかえって分かりにくいので
\((i,j)\)成分のみを記載しました。

積が計算できる条件

\(m行l列\)と\(l行n列\)というように
Aの列数とBの行数が一致しなければ
乗法の計算ができないことに
注意してください。

感覚的な理解を深める必要があります。

積の\((i,j)\)成分の求め方

Masaki Kogaさんのこの動画が一番、行と列を掛け合わせた成分を書く位置が
一番わかりやすいやり方です。

なんで行(横)と列(縦)を書けるの?

同じ位置の成分同士の掛け算ではダメなの?

このように定義したのはベクトルの演算で

\(行ベクトルf=(a_1 a_2 \cdots a_n)
列ベクトル{\rm x }=\begin{pmatrix}
x_1  \\
\vdots  \\
x_n
\end{pmatrix} \)

において

\(f\)と\({\rm x }\)の内積は次のように表せます。

$$f\cdot {\rm x } = a_1 x_1 + a_2 x_2 + \cdots + a_n x_n$$

となり、これと同じ式になるように
行列の積を「定義」しました。
一致することでいろいろと
便利で応用が利くためです。

言い方を変えると
このように定義しなかったら
行列は全く使い物にならないということです。

交換法則は成り立たない

また行列の積は交換法則は成り立ちません。
$$AB \neq BA$$

交換法則が成り立つ行列も存在しますが
かなり限定的な条件になります。

群論を習うとわかりますが
実は交換法則が成り立つ
「実数の加法、乗法」は
かなりのレアなケースです。

行列の演算の法則
命題
\(A,B,C\)を行列、\(k,h \in \mathbb{R} \)のとき

 

  • \(A + B = B + A\)
  • \((A+B)+C = A+(B+C)\)
  • \(k(A+B) = kA + kB\)
  • \((k+h)A = kA + hA\)
  • \((kh)A = k(hA)\)
  • \(k(AB)=(kA)B=A(kB)\)
  • \((AB)C=A(BC)\)
  • \((A+B)C=AC+BC\)
  • \(A(B+C)=AB+AC\)

零行列O、単位行列E

定義
すべての成分が0となる行列Oを零行列とする

実数でいう0のような行列です。
何を書けても零行列Oとなります。

定義
n次の正方量列\((e_{ij})\)の
対角成分が1、それ以外の成分が0となる
行列を単位行列とする。$$e^{ij} = \begin{cases}
1 & (i=j) \\
0 & (i \neq j)
\end{cases}$$

任意の正方行列\(A(\neq O)\)をかけても
\(AE = EA = A\)となります。
n次の単位行列は\(E,E_n,I_n\)などと表記します。

命題
零行列、単位行列の演算法則
任意の行列Aと零行列O、単位行列Eについて

 

  • \(AO=OA=O\)
  • \(kO=O\)
  • \(0A=O\)
  • \(AE=EA=A\)

複素共役行列

定義
行列\(A=(a_{ij})\)について各成分を共役複素数で置き換えた行列を
\(A)\)の複素共役行列と言い
\(\overline{A}=(\overline{a_{ij}})\)とする。
命題
複素共役行列の法則

 

  • \(\overline{\overline{A}}\)
  • \(\overline{A+B} = \overline{A} + \overline{B}\)
  • \(\overline{cA} = \overline{c}\overline{A}\)
  • \(\overline{AB}=\overline{A}\overline{B}\)

転置行列

定義
行列\(A=(a_{ij})\)について\(ij\)成分を\(ji\)成分とした行列を転置行列\({}^tA(A^Tという表記もある)\)とする

\({}^tA = (a_{ji})\)とも表記できる。

対角成分を軸に行列を成分をひっくり返せば転置行列になります。

命題
転置行列の法則

 

  • \({}^t({}^tA) = A\)
  • \({}^t\overline{{}^tA} = \overline{{}^tA}\)
  • \({}^t(A+B) = {}^tA +{}^tB\)
  • \({}^t(cA) = c{}^tA\)
  • \({}^t(AB) = {}^tB {}^tA\)

対称行列、交代行列

  • 対称行列:正方行列\(A\)が\(A={}^tA\)となる行列を対称行列
  • 交代行列:正方行列\(A\)が\(A=-{}^tA\)となる行列を交代行列

逆行列、正則行列

定義
\(n\)次の正方行列\(A\)に対して、
\(AX=XA=E_n\)となる\(n\)次の正方行列\(X\)が存在するとき
行列\(A\)を正則行列といい、
(\(A\)は正則であるという)
\(X\)を\(A\)の逆行列という。
\(X=A^{-1}\)と表す。
命題
逆行列の法則

 

  • \((A^{-1})^{-1} = A\)
  • \((AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1}\)

行列の積の定義から
逆行列は正方行列でない場合は
存在しない。

正方行列\(A\)が正則である、
つまり逆行列が存在するのかどうかは
\(A\)の各成分による。

行列の世界の逆行列は
実数の世界でいう
逆数のような存在です。

\(A=\begin{pmatrix}
2 & 1 \\
1 & 2
\end{pmatrix} \)
の逆行列は

\(A^{-1}=\begin{pmatrix}
\frac{2}{3} & -\frac{1}{3} \\
-\frac{1}{3} &  \frac{2}{3}
\end{pmatrix} \)
となる。

\(A=\begin{pmatrix}
1 & 1 \\
1 & 1
\end{pmatrix} \)
の逆行列を求めてみます。

\(A\)が逆行列を持つと仮定する。

\(X=\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix} \)
のとして

\(AX=E_n\\
\begin{pmatrix}
1 & 1 \\
1 & 1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
1 & 0 \\
0 & 1
\end{pmatrix}\\
\begin{pmatrix}
a+c & b+d \\
a+c & b+d
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
1 & 0 \\
0 & 1
\end{pmatrix}\)

となり矛盾する。

よって\(A\)は逆行列をもたない。

どんな行列が逆行列を持つのか?

これが重要な議題となる。

内積

ベクトルの内積を\(n\)次元に拡張する。

定義
$${\bf a} =
\begin{pmatrix}
a_{1}  \\
\vdots \\
a_{n}
\end{pmatrix},
{\bf b} =
\begin{pmatrix}
b_{1}  \\
\vdots \\
b_{n}
\end{pmatrix}
$$
ベクトル\({\bf a},{\bf b}\)の内積を下記のように定義する。
$${\bf a}\cdot {\bf b}\buildrel \rm def \over {:=} {}^t{\bf a}{\bf b}=\sum_{i=1}^n a_i\overline{b_i}$$

ベクトルのノルムも\(n\)次元に拡張する。

定義
ベクトル\({\bf{a}}\)のノルムを次のように定義する。
$$\|{\bf{a}}\| = \sqrt{{\bf{a}}\cdot {\bf{a}}} = \sqrt{|x_1|^2 + \cdots + |x_n|^2}$$

内積の法則

  • \({\bf{a}}\cdot {\bf{b}} \le \|{\bf{a}}\|\|{\bf{b}}\|\)
  • \(\|{\bf{a}}+{\bf{b}}\| \le  \|{\bf{a}}\|+\|{\bf{b}}\|\)
  • \({\bf{a}}\cdot {\bf{a}} = \|{\bf{a}}\|^2 \ge 0\)
  • \({\bf{a}}\cdot {\bf{b}} = \overline{{\bf{b}}\cdot {\bf{a}}}\)
  • \(({\bf{a}}+ {\bf{b}})\cdot  {\bf{c}} = {\bf{a}}\cdot {\bf{c}}+{\bf{b}}\cdot {\bf{c}}\)
  • \((\lambda {\bf{a}})\cdot {\bf{b}} = \lambda ({\bf{a}}\cdot {\bf{b}}) \)
  • \({\bf{a}}\cdot (\lambda {\bf{b}}) = \overline{\lambda} ({\bf{a}}\cdot {\bf{b}})\)
  • \((h {\bf{a}})\cdot (k{\bf{b}}) = h\overline{k}{\bf{a}}\cdot {\bf{b}} \)

ユニタリ行列・直交行列

命題
\(A\in M(m,n)\)ならば
任意の\(n\)次列ベクトル\({\bf{x}}\)と\(m\)次列ベクトル\({\bf{x}}\)について
下記が成立する。
$$A{\bf{x}}\cdot {\bf{y}} = {\bf{x}}\cdot {}^t\overline{A}{\bf{y}} $$
定義
行列\(A\)について\({}^t\overline{A} \)を
随伴行列といい\(A^*\)と表す
 

命題
随伴行列の法則

  • \((A^*)^* = A\)
  • \((A+B)^*= A^*+B^*\)
  • \((kA)^* = \overline{k}A^*\)
  • \((AB)^* = B^* A^*\)
定義
正方行列\(A\)が\(A = A^*\)となるとき
\(A\)をエルミート行列という。
実エルミート行列を実対称行列という。
定義
正方行列\(A\)が\(A^* A = E\)となるとき
\(A\)をユニタリ行列という。
実ユニタリ行列を直交行列という。
命題
\(n\)次正方行列\(A\)について次の4つは同値である。

 

  1. \(A\)はユニタリ行列である
  2. \(\forall {\bf x}\) について
    $$\|A{\bf x}\|= \|{\bf x}\|$$
  3. \(\forall {\bf x} , {\bf y}\) について
    $$A{\bf x}\cdot A{\bf y}= {\bf x}\cdot {\bf y}$$
  4. \(A\)の列ベクトル\({\bf a_1} ,\cdots , {\bf a_n}\)について
    $${\bf a_i}\cdot {\bf a_j}= \delta_{ij} =
    \begin{cases}
    1 & (i=j)\\
    0 & (i\neq j)
    \end{cases}$$
命題
\(n\)次実正方行列\(A\)について次の4つは同値である。

 

  1. \(A\)は直交行列である
  2. \(\forall {\bf x}\) について
    $$\|A{\bf x}\|= \|{\bf x}\|$$
  3. \(\forall {\bf x} , {\bf y}\) について
    $$A{\bf x}\cdot A{\bf y}= {\bf x}\cdot {\bf y}$$
  4. \(A\)の列ベクトル\({\bf a_1} ,\cdots , {\bf a_n}\)について
    $${\bf a_i}\cdot {\bf a_j}= \delta_{ij} =
    \begin{cases}
    1 & (i=j)\\
    0 & (i\neq j)
    \end{cases}$$

行列のブロック分割と演算

行列の各成分を一つずつ計算するのは
とても手間がかかる。
実際は全ての成分の演算は不要で
必要な場所だけを演算すればいい場合がある。

ここでは行列をブロックごとに分割して
小さなブロックの行列を成分とした行列で演算する。

\(A=\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 & 4\\
5 & 6 & 7 & 8\\
9 & 10 & 11 & 12\\
13 & 14 & 15 & 16
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
A_{11} & A_{12}\\
A_{21} & A_{22}
\end{pmatrix}
\)

各\(A_{ij}\)は正方行列である必要はなく
また同じ次元である必要はない
ただし縦に並んだ成分の列数と
横に並んだ成分の行数は
一致していなければならない。

ブロック分割した行列の和とスカラー倍

m行n列の行列\(A\)を
行を\(p\)個、列を\(q\)個に分割する。

\( A = \begin{pmatrix}
A_{11} & A_{12} & \cdots & A_{1q}\\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
A_{p1} & A_{p2} & \cdots & A_{pq}
\end{pmatrix}
\)

このとき\(k\in \mathbb{R}\)に対して

\( kA = \begin{pmatrix}
kA_{11} & kA_{12} & \cdots & kA_{1q}\\
\vdots & \vdots &\ddots  & \vdots \\
kA_{p1} & kA_{p2} & \cdots & kA_{pq}
\end{pmatrix}
\)

また行列\(B\)を下記とする。

\( B = \begin{pmatrix}
B_{11} & B_{12} & \cdots & B_{1q}\\
\vdots &\vdots  & \ddots & \vdots \\
B_{p1} & B_{p2} & \cdots & B_{pq}
\end{pmatrix}
\)

ただし、行列\(A\)と
同じ型であり、かつ同じ区分け、
かつ各\(A_{ij}\)と\(B_{ij}\)も同じ型とする。

このとき

\( A+B = \begin{pmatrix}
A_{11} +B_{11}& \cdots & A_{1q}+B_{1q}\\
\vdots & \ddots & \vdots \\
A_{p1} +B_{p1}& \cdots & A_{pq}+B_{pq}
\end{pmatrix}
\)

ブロック分割した行列の積

行列\(Aを(m,n)\)型行列
行列\(Bを(n,l)\)型行列
とする。

行列\(A\)を
行を\(p\)個、列を\(q\)個に分割する。

\( A = \begin{pmatrix}
A_{11} & A_{12} & \cdots & A_{1q}\\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
A_{p1} & A_{p2} & \cdots & A_{pq}
\end{pmatrix}
\)

行列\(B\)を
行を\(q\)個、列を\(r\)個に分割する。

\( B = \begin{pmatrix}
B_{11} & B_{12} & \cdots & B_{1r}\\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
B_{q1} & B_{q2} & \cdots & B_{qr}
\end{pmatrix}
\)

また行列\(B\)を下記とする。

\( B = \begin{pmatrix}
B_{11} & B_{12} & \cdots & B_{1q}\\
\vdots &\vdots  & \ddots & \vdots \\
B_{p1} & B_{p2} & \cdots & B_{pq}
\end{pmatrix}
\)

ただし、下記の2つを満たす

  • 行列\(A\)の行の区分けの数と
    行列\(B\)の列の区分けの数が一致
  • 行列\(A\)の行の区分けの仕方と
    行列\(B\)の列の区分けの仕方が一致

このとき積\(AB\)の\(i,j\)成分は

$$(AB)_{ij} = \sum_{k=1}^{q}A_{ik}B_{kj}\\
=A_{i1}B_{1j}+\cdots +A_{iq}B_{qj}$$

これは行列の積と一致する。

これをやるメリットとして
分割した行列が零行列、単位行列だった場合
計算が簡単になり、
計算量が劇的に減らすことが
できるようになります。

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参考・引用文献

下記の資料を中心に執筆しています。
各所で引用元を記すべきですが
煩雑になるのを防ぐため
こちらでまとめて明示いたします。

書籍

  • 改訂版 大学1・2年生のためのすぐわかる数学
  • これだけ! 線形代数
  • まずはこの一冊から 意味がわかる線形代数
  • 線型代数―Linear Algebra(長谷川 浩司/著)
  • 線型代数入門( 斎藤 正彦/著)

詳しくはこちらの記事で紹介しています。

動画

  • 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」
  • Masaki Koga [数学解説]
  • AKITOの勉強チャンネル
  • 式変形チャンネル

詳しくはこちらの記事で紹介しています。

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